はじめに
Vtuber 関連のニュースが絶えない今日このごろ、 参入障壁の大きかった3 D は unity などの無料で使用できるソフトの誕生で手軽に個人で制作できるようになりましたね。
特に VRchat では、個人で制作したモデルを使って他人と交流するなど公開するプラットフォームも多様化してきました。
そんな VR 界隈の盛り上がりに自分も参加したい!3 D モデルを作ってみたい!という方も実は多いのではないでしょうか?
しかし、いざ作ろうとすると絵心ないから作れない……0から作るのは難しそう……と後ろ向きになってしまいますよね。
今回はそういう方々のために、手軽に作れて、一定のクオリティのままオリジナル3D キャラが作れるアプリ【 Vroid 】をご紹介します!
Vroid の特徴
※今回挙げている特徴は、記事作成時バージョン[v0.2.12]を使用しているときのものです。
- 人型キャラクターの3D モデルを作成できるアプリケーション
- 素体が元々用意されている ※素体は女性体型のみ
- unity 製
- 商用利用可 ※素体データ改変なし以外など条件付き。詳しくは Vroid の公式 HP へ
- vrm 形式で書き出しが可能
などなど
Vroid を使う前の準備
いきなり3 DCG を制作しようとすると、イメージが固まっていないので作り直しが多くなって完成しない…なんということが発生してしまいます。
できることなら事前にキャラクターデザインを用意することをおすすめします(ラフで問題ないです)。
作ることに慣れていない場合、制作でつまづくのは色の問題です。
後々詳しく作例が出ますが、カラーコードを利用すると色変更などがとても楽なので、 その参考にするためにも事前に用意することを推奨します。
あくまでただのイメージ画なので、ラフで色がわかる状態であれば Vroid の作業では問題ないです。
自分じゃ描けない!という方は SKIMA や coconala などコミッションサービスで簡単にキャラデザを依頼することができますよ。
キャラクターデザインのポイント
3D モデリング初心者の方が最初から複雑なデザインを作ろうとすると途中で挫折してしまうので、 Vroid で初めて制作するならこういうデザインがいいというポイントを挙げます。
- 短髪〜ミディアム程度の長さの髪
- 長髪の場合、メッシュやガイドの調整が不可欠なため作業が複雑化する
- できるだけ左右対称のデザイン
- ミラーモードを使用することで、片方を仕上げれば完成するので工数が減る
- 装飾は最低限に
- 地味すぎる場合は、テクスチャで模様を描くなどで対応したほうがミスが起こりにくい
- 現在は髪の毛を描くツールでそれっぽく調整して作るしかないため、調整が上級者向け
Vroid を使用する前に
さっそく実践の解説になりますが、その前に一連の基本操作や制作時の注意点を主に解説します(細かい機能についての解説はまた後日)。
私は下記の順番で作業しました。
【顔周り作業】
- 顔の輪郭・目などのパーツのバランスや大きさの調整
- テクスチャを描き込む
【髪型の作業】
- 前方の髪型を仕上げる
- 横〜後ろの髪型を仕上げる
- 形が出来上がったら色の調整
【服装の調整】
- 体型・服装を調整する
- 体〜服装のテクスチャを描き込む
この作業手順は、まず全体イメージを自分の中で作ってからのほうが制作のモチベーションが上がることや、形を作ってからテクスチャなどの細かいところを作ったほうが効率がよいからです。
(形を直すとその都度テクスチャにも影響があるので、その点を考慮した手順ですね。)
Vroid の実践
まずアプリを[開く]→[新規作成]→[名前を入力]して新規プロジェクトを作成します。 ※ unity の特性上名前は必ず英語にしてください。
新規作成をすると、ベースとなる素体1体と画面上にある編集部位を選択するトップバー、左右のパネルがあるビューが出てきます。
現在は「顔編集」の部位を選択し、「カスタマイズの場所」をすべて、「詳細設定パネル」各スライダーは何もいじっていない状態です。 右側の各スライダーで各パーツの位置や大きさなどモデリングの大元を作っていきます。
今回のラフに合わせてスライダーを調整して作ったのがこちら。
テクスチャの編集
目は顔の印象の8割を占めるというほどなので、テクスチャを修正してキャラクターデザインに近づけていきます。
レイヤー機能やレイヤー効果は実装されましたが、まだマスク機能がないため、はみ出ないように慎重に塗らなければなりません。
ここでの便利機能としては、左右同じ目のデザインでよければワークスペースの右上にあるミラー機能をオンにします。画像は実際にオンにした状態で片目だけ描いた状態です。
一部だけ左右対称にしたくない場合は、その都度オンオフを切り替えて作業をすることもできます。
服装なども同様にテクスチャを修正することでよりオリジナルリティーが増します。
髪の毛の生成
髪の毛の生成は「手書きガイド追加」でガイドを作成し、ガイドに沿って髪の毛を一束一束作っていきます。 この際もミラー機能をオンにしておくと作業が楽です。
オンにして一筆描いた状態がこちら。
ガイドの範囲内でしか髪の毛は作られないので、「手書きガイド追加」で生成された初期ガイドよりも長い髪の毛や今回のキャラのようにツインテール+お団子の場合はその形になるようにガイドを調整する必要があるため、メッシュ機能の理解も必要なため難易度は上がります。
そうして作ったのがこちら!
……メッシュを無理くり変形させてお団子に見えるようにしたので、不格好ですがなんとかお団子ツインテールも作れました。
人体
スライダー1つで綺麗に太らせたり細らせたりできることがすごい! 通常の3 D ではポリゴンの頂点を微調整していかなければならないのでかなりの手間な作業が、 スライダーだけで感覚的に調整できるようになっているので本当に簡単でした。
ちなみに、テクスチャは右側の UV 展開図に描いてもよいのですが、左側のモデルに直接描いてもそのまま反映されるので、図解を理解する必要もありません。
(下の写真は実際にモデルに直接描いたときの図)
表情の作成
トップバーで「撮影・エクスポート」を選択すると、表情・背景・ポーズが変えられる画面になります。 「表情」を選択して、右側のスライダーで表情を変えていきます。 ワークスペース右下には「撮影」ボタンがあり、作った表情を綺麗な状態で保存できます。 (スクリーンショットより断然綺麗)
上の画像がスクリーンショット、下の画像が撮影機能を使ったときのものです。
楽しい10%、驚き60%など複数の感情を調整することで、そのキャラ独自の表情を作ることが可能です。 八重歯をはやしたりなど口の中の構造もスライダーでアレンジ可能になっています。
ポーズ
「ポーズ&アニメーション」を選択すると、右側にデフォルトで備わっているアニメーションの動きが並んでいます。
動いたときに髪の毛が体を貫通していないか、服から肌が飛び出てないかなど動いたときの不具合はここで確認することよいかもしれません。
また背景の設定もできるので、その場で作ったキャラクターを背景に合わせてポーズさせ、作品撮影をすることも可能となっています。
感想
元々の素体のクオリティも高く、生成する髪の毛などもハイライトが細かく設定されていたりと確かに初心者でもクオリティを落とさずに作ることができるアプリだと思いました。
一枚画像としてみたときもイラストさながらのクオリティなので、二値化してマンガにしてしまっている人もいるほど使い方は3 D で動かすこと以外にもありそうですね。
ただ、
- 素体の性別が女性に限られる
- 素体自体でいじられる幅の制限
- 作業データは.vroid 形式のみ対応
などまだまだ制約があるところがあります。 性別に関してはすでに開発中という報告があるので、この改善余地のある部分に関しても今後のアップデートで改善することを期待しています!
それから、朗報!として、 作成した3D キャラクターを投稿して他ユーザーと共有、 VR/AR コンテンツの共通アバターとして利用できるサービス「 VroidHub 」が2018年12月から提供開始とのニュースが発表されました。 この「 VroidHub 」の発展によっては、活用方法が更に拡大されることが期待されますので、続報を待ちたいところです。
Vtuber 業界の盛り上がりによって3 D キャラクターへの注目が高まっているいま、自分だけのキャラクターを作ってバーチャルデビューしてみてはいかがでしょうか?
それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!