イントロ
コンシューマ向けの端末としてはiPadと比較して勢いのないイメージのあるAndroidタブレットですが、Androidアプリが動くChromebookが今後伸びて事実上のAndroidタブレットの主流となる可能性もあり得そうです。
GIGAスクール構想で学校の教育現場で使用される端末にChromebookが採用され、しかもそこそこのシェアと取りそうです。(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/04348/) 学校で使用されているのと同じ物を求めるご家庭は多そうです。
教育分野、あるいは子供の頃から親しみを持って接してもらいたいサービスに関するアプリを開発する場合にはAndroidアプリのChrome OS上での動きなどについても知っておいた方が良いかと思い。少し試してみることにしました。
環境(前提条件)について
2019年以降に発売のChromebookと一部のそれ以前に発売の端末(https://sites.google.com/a/chromium.org/dev/chromium-os/chrome-os-systems-supporting-android-apps)で Androidアプリ、Google Play ストアが動作します。
近年発売された一部のハイスペックなChromebookではAndroid Studioが動作し、直接その中でAndroidアプリの開発を行えます(https://chromeos.dev/en/android-environment)が、今回は触れません。
Chrome OS での開発
MacでAndroidアプリを開発し、MacのAndroid StudioからChromebookでAndroidアプリをデバッグ実行するには少し特殊な手順が必要です。
この手順ではChromebook上のデータやアカウント情報の削除、セキュリティレベルの低下を伴います。明確な許可が予め得られているような場合を除き完全に私的なChromebook端末でのみ実施するようにしてください。
また、下記の手順はLenovo IdeaPad Duetにて確認したものです。他の機種では画面上の表示など異なる可能性があります。
手順1. ChromebookのデベロッパーモードをONにする
- リカバリーモードで端末を起動します。(Escキーと再読込(F3)キーを押したまま電源ボタンを押します)
タブレットの場合は音量の上下ボタンと電源ボタンを10秒押します。
すると次のようなリカバリーモードの画面が表示されます。

- デベロッパーモードを有効にする
先ほどのリカバリーモードの画面を表示したままCtrl+Dを入力します。タブレットの場合は音量の上下ボタンを同時に押します。

音量の上下ボタンでカーソルを移動し、

“OSの確認機能を無効にすることを確認する”にカーソルをあてて電源ボタンで選択します。

OSの確認機能がオフになっていると表示されたら”デベロッパーオプション”を選択します。

内部ディスクからのブートを選択します。
デベロッパーモードへと移行します。


補足:デベロッパーモード移行後のChromebookの起動について
起動するごとに毎回“デベロッパーオプション => 内部ディスクからのブート”の選択が必要となります。(デベロッパーモードへの移行処理で待たされたりはしません)


- セットアップ
通常通りChromebookをセットアップします。
手順2. ADBデバッグを有効にする
端末の設定 => Linux(ベータ版) => 「オンにする」ボタンをクリック
画面の指示に沿ってLinuxをインストールします。




次にADBデバッグを有効に設定します。
設定 => Linux(ベータ版)=> Linux => Androidアプリの開発 => ADBデバッグを有効にする





手順3. ネットワーク経由でMacからChromebookに接続できるようにする
- Ctrl+Alt+TでChrome OS ターミナルをスタートする
- “shell”と入力してbashを起動
- 次のコマンドを順に入力
$ sudo crossystem dev_boot_signed_only=0
$ sudo /usr/libexec/debugd/helpers/dev_features_rootfs_verification
$ sudo reboot
- 再起動したら再度bashを起動してSSHを有効にし、ファイヤーウォールを設定するために次のコマンドを実行します。
$ sudo /usr/libexec/debugd/helpers/dev_features_ssh
5. Chromebookに割り当てられているIPアドレスを確認
Chromebookの設定画面のネットワークから接続中のAP名をクリックしていくと確認できます。

手順4. Macからのadb接続
Macで次のコマンドを入力
$ adb connect <ChromebookのIPアドレス>:22
手順5. デバッグ実行
通常のAndroidアプリ開発と同様の手順でデバッグ実行が可能です。

Hello World!
いかがだったでしょうか?ここまでの手順を行うことでChromebook端末でも通常のAndroid端末と同様にAndroidアプリ開発が進められるようになります。
次回はChromebookで重要になるWindowサイズの変更に対するハンドリングの確認などを行なっていきたいと思います。
リソース
https://developer.android.com/chrome-os/intro?hl=ja
https://chromeos.dev/en/productivity/experimental-features#developer-mode