はじめに

7月28日(米国現地時間) Google から Android Studioの最新版 Android Studio Arctic Fox 2020.3.1 が正式リリースされました。5月に開催された Google I/O 2021 でベータ版の発表がありましたが、その安定版リリースになります。

Android Studio Arctic Fox(2020.3.1)安定版を公開しました

今回はこの Android Studio Arctic Fox 2020.3.1 の変更点や新たに加わった機能などについてみて行こうかと思います。手短に把握したい方は、Android Developers公式の動画がよくまとまっているのでご覧ください(日本語字幕もあります🙏)

バージョン表記の変更

本バージョンからバージョン表記が変更になっています。Android Studio のベースになっている IntelliJ IDE の番号と整合性を持たせたるためのようです。

:Android Studio 4.2.2、Android Studio 4.0、Android Studio 3.6.3 …など
:Android Studio Arctic Fox 2020.3.1

Arctic Fox 部分
どのバージョンが新しいのかをわかりやすくするために、各リリースにAから順にコード名が付きます。今回は Arctic Fox(ホッキョクギツネ) になっています。Android OS のお菓子といい Google は種類分けが好きですね。

ちなみに次回の名前は Bumblebee(マルハナバチ。ミツバチの仲間)です。Canary版がこちらからダウンロードできます。

2020.3.1.X 部分
2020 ベースとなる開発ツールであるIntelliJ IDEAのリリースされた年。
3 IntelliJ IDEAのメジャーバージョン番号
1 Android Studioのメジャーバージョン番号。1から始まりメジャーリリースごとに1ずつ増加。
X Android Studioのマイナーバージョン番号、またはパッチバージョン番号。1から始まりマイナーリリースごとに1ずつ増加。

公式ドキュメント:Android Studio のバージョン番号の更新
「Android Studio Arctic Fox」(2020.3.1)が正式リリース

Jetpack Compose

Google I/O 2021で予告されていた通り、7月に Jetpack Compose 1.0がリリースされました。

Jetpack Compose は、ネイティブ UI をビルドするための Android の最新ツールキットです。Android の UI 開発を簡素化し、加速します。少ないコード、パワフルなツール、直感的な Kotlin API を使用してアプリをすぐに動かすことができます。

公式ドキュメント:Jetpack Compose でより優れたアプリを迅速にビルドする

Android Studio Arctic Fox では Jetpack Compose のプレビューなどの機能がサポートされました。

Live literals
コード変更するとリアルタイムで Android Studio 右側のプレビュー画面に反映される機能です。(プロジェクトはGoogle公式の compose-samples で確認しました)

アノテーション @Preview を追加することでプレビューを生成することができます。
@Previewでは以下のようなパラメータを指定できるので、複数パターンのプレビューで確認することができます。

指定可能な
プロパティ
概要初期値設定可能な値
nameプレビュー表示の名前設定“”String
groupプレビュー表示のグルーピング名設定。グルーピングごとに表示切替が可能“”String
apiLevelAPI Levelの指定-1Int
widthDpプレビューの横幅(dp)-1Int
heightDpプレビューの縦幅(dp)-1Int
locale言語の指定“”“ja”,”en” …など
fontScaleフォントサイズ1fFloat
showSystemUiステータスバーとアクションバーを表示するかfalseBoolean
showBackground背景色の設定をするかfalseBoolean
backgroundColor 背景色の指定。showBackgroundとあわせて使用するfalse0xARGB
uiModeライトモード、ダークモードなどを設定0UI_MODE_NIGHT_YES,
UI_MODE_NIGHT_NO …など
deviceデバイスDevices.DEFAULT NEXUS_9,NEXUS_10,
PIXEL_3A,PIXEL_3A_XL, PIXEL_4,PIXEL_4_XL …など

たた引数のあるメソッドには @Preview では使用できないので、注意が必要です。

便利な機能として、プレビュー表示の上で右クリックをすると、その表示自体を画像としてコピーすることができます。チーム内の情報共有やMR・PRの説明などに利用できそうですね。(各UIを囲っている枠線は画像には表示されません)

Interactive mode
プレビュー画面のインタラクティブ アイコンをクリックすると、操作に対応したアニメーションなどの確認ができます。アニメーションはフレームごとの形や変位している値もわかるので、効率よく実装できそうですね。

注意点で、エミュレータではなくAndroid Studio 内での確認になるので、いくつか制限があります。

  • ネットワークにアクセスできない
  • ファイルにアクセスできない
  • 一部の Context API を使用できない可能性がある

またInteractive modeはデフォルトでOFFなので、PreferencesからONにする必要があります。

公式ドキュメント:Compose のツール インタラクティブ モード

プレビューのデプロイ

プレビューのインタラクティブアイコンの右隣のアイコンか、コード上のアイコンをクリックすると、そのプレビューを実機やエミュレータにデプロイ(表示)させることができます。

Background Task Inspector

Android Studio Arctic Fox からアプリのバックグラウンドワーカーの可視化・デバッグができるようになりました。「メニューバー View > Tool Windows > App Inspection」クリックで表示できます。

また以前からあった SQLite などのデータベースの確認・編集ができる Database Inspector もタブで切替表示できるようになっています。


Background Task Inspector で、リスト表示されたワーカーを選択すると以下の詳細情報を確認することができます。

  • ワーカーの説明
  • 実行方法
  • ワーカーチェーンの詳細
  • 実行結果

またアイコンをクリックするとワーカーチェーンを視覚的に表示してくれます。

(プロジェクトは Google公式の android-workmanager で確認しました)

その他

参考記事

まとめ

いかがだったでしょうか?ここで紹介した以外にも、いろいろ追加されているので実際試してみるのが良いと思います。

  • Layout Inspector の Compose 対応
  • Layout Editor の Accessibility Scanner追加(ユーザー補助検証ツール。コンテンツ説明の未設定・低コントラストなどを教えてくれる)
  • Instrumentation Test のスナップショットの保存、詳細内容の確認
  • Wear OS エミュレータの心拍数センサーAPI追加
  • 新しいGoogleTVのリモコン対応
  • エミュレータのフォルダブル(折りたたみ式)デバイス対応 …などなど


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